「南京事件 国民党極秘文書から読み解く」の一節

2012.08.27.16:12

東京裁判から四半世紀あまりのちの昭和四十七年(1972)、日中国交回復の年に、本多勝一『中国の旅』が出版されたことである。これは朝日新聞記者の本多氏が前年に中国に行って取材し、「中国の旅」と題して同紙に連載した記事をまとめたもので、ベストセラーとなって大きな反響を呼んだ。

それから一年後の昭和四十八年(1973)に、大虐殺はあったのだと主張する人々によって英語版の『戦争とは何か、中国における日本軍の暴虐』が発掘され、大虐殺の根拠として提示される。
この本は上海にいた英国の『マンチェスター・ガーディアン』紙中国特派員ハロルド・ティンパーリ記者が南京在住の欧米人(匿名)の原稿を編集して、昭和十三年(1938)七月にニューヨークやロンドンで出版したものであった。戦争の悲惨さを訴えるとした趣旨のもと、日中戦争、とりわけ南京の日本軍の暴行を取り上げたという構成になっていた。まさに第三者的立場の欧米人が、独自に出版した本と読者の目には映った。

この『戦争とは何か』の評価が一躍高まったのは、その後になって匿名の執筆者がマイナー・ベイツ教授と宣教師のジョージ・フィッチ師であると判明したことからであった。

戦後出版された『曽虚白自伝』には、中央宣伝部がティンパーリ記者に「お金を使って頼んで、本を書いてもらい、それを印刷して出版」したという曽虚白(南京大学教授、のちに中央宣伝部国際宣伝処処長)の証言が記されている。
さらに次のことも判明した。『戦争とは何か』に執筆し、東京裁判でも証言していたベイツ教授は、実は中華民国政府の「顧問」であった。もう一人の執筆者ジョージ・フィッチ師も、『チャイナ・マンスリー』一九四〇年一月号の『編集者ノート』によれば、彼の妻が蒋介石夫人の宋美齢と「親友」の間柄であった。彼らはいずれも国民党政府と何らかの関係にあり、『戦争とは何か』は第三者的立場の人たちが独自に出版した本ではなかった。
ここでいよいよ、『戦争とは何か』は中央宣伝部の「宣伝本」ではなかったのかという疑惑が浮上してきたのである。

探し求めていた中央宣伝部の史料は、台北の国民党党史館に眠っていた。

それは極秘文書中の「対敵課工作概況」のなかの「(一)対敵宣伝本の編集製作」の「1,単行本」によってついに判明した。

1,単行本
本処(国際宣伝処)が編集印刷した対敵宣伝書籍は次の二種類である。

A『外人目睹中之日軍暴行』
この本は英国の名記者田伯烈が著した。内容は、敵軍が一九三七年十二月十三日に南京に侵入したあとの姦淫、放火、掠奪、要するに極悪非道の行為に触れ、軍紀の退廃および人間性の堕落した状況についても等しく詳細に記載している。
「田伯烈」は「ティンパーリ」の漢字表記であり、『外人目撃中の日軍暴行』は英語版『戦争とは何か』の漢訳版であった。ティンパーリ編『戦争とは何か』は、「本処(中央宣伝部国際宣伝処)が編集印刷した対敵宣伝書籍」とあるように、中央宣伝部が編集製作した二冊の宣伝本のうちの一つであった。
 
しかし「本処が編集印刷した」とは、ただ単に国際宣伝処が英語版を翻訳したということを意味するのではないか、そのような異論も考えられよう。そこで念のため付言しておくが、英語版の『戦争とは何か』も、漢訳版の『外人目撃中の日軍暴行』も、ともに一九三八年(昭和十三年)七月の出版であった。同時出版の事実と、先にも引用したように中央宣伝部がティンパーリ記者に「お金を使って頼んで、本を書いてもらい、それを印刷して出版した」という曽虚白処長の回想を考慮に入れると、その異論は成り立たないであろう。
以上のことから、『戦争とは何か』は中央宣伝部の製作した「宣伝本」だったことが確認された。
長いあいだ南京大虐殺の根拠となっていた『戦争とは何か』とその巻末に収録された資料は、戦争プロパガンダの視点から見直さねばならなくなったのである。

新聞記者を使っての宣伝活動
新聞は書籍や雑誌と比べて発行部数が多く、最も多くの人の目に触れるものだ。それを宣伝戦に使わない手はない。極秘文書は「各国新聞記者と連携して、彼らを使ってわが抗戦宣伝とする」と報告して、次のように記している。
「われわれが発表した宣伝文書を外人記者が発信すれば、最も直接的な効果があるが、しかしそのためには彼らの信頼を得て初めてわれわれの利用できるところとなる。この工作は実に面倒で難しいが、決して疎かにしてはならない」

このように中央宣伝部国際宣伝処は「面倒で難しいが、決して疎かにしてはならない」重点対策として、外国特派員への対応に細心の注意を払っていた。言うまでもなく、宣伝部の思惑に沿って、彼らに記事を書いてもらうためであった。『中央宣伝部国際宣伝処工作概要』は次のように記している。
「外国人記者たちは、平素は当処(国際宣伝処)が誠心誠意宣伝指導にあたっていることから、そうとうに打ち解けた感情を持っている。そのほとんどはわが国に深い同情を寄せてくれているが、しかし新聞記者は何かを耳にすると必ずそれを記録するという気質を持っているので、噂まで取り上げて打電することにもなりかねない。含蓄をこめた表現で、検査者の注意を巧みに逃れることにも長けている。中国駐在記者が発信した電報を各国の新聞が載せれば、極東情勢に注目している国際人士はそれを重視するものであるから、厳格に綿密に検査する必要がある。妥当性に欠けるものは削除または差し止めにしたうえで、その理由を発信者に説明し、確実に了解を得られるようにして、その誤った観点を糺した」
外国特派員は中央宣伝部の「厳格」かつ「綿密」な検査に協力させられていたということである。


「南京事件 国民党極秘文書から読み解く」より
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