スポンサーサイト

--.--.--.--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

GHQ焚書図書開封(9)「征野千里」6:夢破る迫撃砲の音

2013.08.29.15:10

◆夢破る迫撃砲の音

 再び部隊が動いた。だんだん弾に近付いて行った。ふと、いよいよ戦争をやるぞ、と考えて見たりする。やがて黒々と林に囲まれた部落の中に入った。すると戦争もしないでここで宿泊という命令が出た。土で作られた家の中へ入って私と石原上等兵とが列んで寝転がった。小林伍長がゴソゴソと入って来て、黙って私たち二人の上へ自分の上着を被せると、そのまま自分も私の横に喰ッついて転がった。
 「や、すまない」といってお礼をいうのがなにかテレ臭いようだったのでそのまま黙って寝ていると、家の外の空にヒュルヒュルヒュルという自動車のタイヤがアスファルト道路で軋むような音がした。つづいてダーン、ジャリーンという大きな炸裂音が聞えた。私は思わず首をもたげた。小林伍長もちょっとゴソゴソと動いた。つづけざまに二つ炸裂する音が響いた。思わず「大砲だな」というと、小林伍長が「迫撃砲という奴さ」と答えた。
 次の一弾はこの家のすぐ傍にでも落ちたのか、とてつもない大きな音と一緒に屋根や壁が礫でも投げつけられたようにバリバリバリという音をたてた。埃がバラバラっと空一杯に広がって鼻や咽喉がザラザラになってむせた。あちこちの家でゴソゴソいっている声も聞えた。

「オイ、射って来たぞ!」というと、石原上等兵が「放っとけよ」というようなことをムニャムニャといって寝返りを打った。
 私も小林伍長も呆れた気持で黙っていた。ふと、弾に当るかもしれないと思った。妙に気持が落ちつかなくなった。小林伍長は立ち上がって「忙しくなるぞ」といった。細心な注意で、もう衛生兵としての役目につこうとしているらしい。衛生兵――はじめて私は自分がどうした渦中に置かれているかを知った。この一弾一弾が私たちの生命を狙っていることを知った。
 私が起き上がると同時に隣との仕切りのところから「オイ、うちの嬶はいないか」と呼ばれる荒木准尉の声がした。私は隣へ走って行った。

 「間違いはないか。そうか、よしよし」と荒木准尉がいわれた。
 瞬間すでに生命ということを忘れてしまった。全弾この身に受けてもそれがなんだと思った。この室のまた隣の室から児玉少尉の声が聞えていた。児玉少尉は私の教官殿だった。五尺七寸五分もある大きな体で、その姿の立派さと豪快さは私たちの憧れの的だった。児玉少尉は「二百メートルばかりが砂地で、その先二百五十メートルほどが水流ですが、水深胸まで、大丈夫歩いて渡れます」と報告していられた。やがて次の室へ入って来られて「ポカポカして温かいぞ」と笑いながら荒木准尉にいわれた。「真裸になって泳いでやったよ。月がいいし、いい気持だぞ」そして大きな声で笑われた。
 この部落の先二百メートルほどで永定河が流れていて、将校斥候となって渡河地点の水深などを調査して来られた、とわかった。私自身が恥しい気持だった。私が砲弾の炸裂音を聞いて『生命』をちょっと考えていたとき、児玉少尉は真裸で対岸の敵を見ながら永定河を泳いでいられた――胸の底からなにかワクワクと湧き上って来る。戦友たちがギッシリすし詰めに寝ている。石原上等兵が大きな鼾をかいていた。
スポンサーサイト

theme : 日記
genre : 日記

comment

Secret

プロフィール

南知隊!

Author:南知隊!
~南京の真実を知らせ隊~
略称『南知隊』
『南京大虐殺』と言う歴史歪曲による不当な冤罪を多くの人達にしってもらおう!
そんな想いを持った人々の集合ブログです。

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
南知隊ブロの中で検索したい事柄があった場合、↓の窓に語句を入力して「検索」ボタンを押すと、該当の記事が出ます。
通州事件の真実
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。